PFFグランプリやAFAアジア新人監督大賞を受賞し、頭角を現しはじめた脅威の新人・石井裕也。すでに「ばけもの模様」も池袋シネマロサで公開され、インディーズ映画界の新星として注目を浴びている存在だ。



―大阪芸術大学、映像学科を選んだ理由を教えてください。

「そうですね、家をとにかく出たかったので、関西に行くしかないと(笑)。あと、普通の職業に就きたくなかった。そういうのを若いうちから選択肢として外そうと思いまして」

―大学時代はご自身の作品にしか興味がなかったと聞きましたけど

「いえ、岡太地さんの卒業制作『トロイの欲情』とかは手伝いましたよ。あと、数本。でも、みんなが先輩の現場を手伝っている間、確かに自分の作品を作りまくっていました」

―大学時代に映画を量産したかった理由は?

「とにかく不安。このまま堕落してしまうのではないかって思い、強迫観念に駆られ無心で映画を作っていました。それこそ3ヵ月に1本くらい。個人で自主制作して学祭などで上映してました。脚本も毎日書いてましたし。どういうスタイルが自分にあっているのか、試行錯誤してたんでしょう」

―インドにも行かれたそうで

「自分にとってはすごくターニングポイントだったと思っています。僕の卒業制作は『剥き出しにっぽん』という作品なんですが、インドの影響が強く出ていると思っています。もうすごく剥き出しだったんですよ、インド人が。日本人って隠すじゃないですか、人に気を遣ったりするし。…まぁ日本みたいに人口密度が高いところで、みんながみんな剥き出しだったら大変なことになるんですけどね。それが19歳の時でした」



―インディーズ映画で4本、かなり知名度があがってきていますが、その状態について

「超大型新人らしいですね(笑)。でも、一般的な人たちからすると何でもないことなんですけどね。ただ、周囲がそういう風に盛り立ててくれる場合があるので、そういう時はちゃんとした立ち振る舞いを考えるようにはしています」

―インディーズ映画についての見解は

「作品を作る動機、それが大切というか、それがないとできないんじゃないかなと思っています。自主制作の作品は、誰かにお願いされて作るわけでもないので」

―じゃあ、個人的な思い入れや感情に左右されることもあると

「はい。むしろその時の作家の感情や精神状態が反映されて然るべきなのが自主制作映画だと思っていますので。そんなものが商業映画に持ち込まれたら、困るわけで。自主はそういうことをしてナンボでしょう。個人的な精神状態や事件などを重要視しながら撮っているという自覚はあります」

―池袋で上映されている「ばけもの模様」も自主制作映画ですよね

「仲間と金をかき集めて作ったという意味ではそうですね。ただ、最初から興行をするために作りましたけど」

―大阪芸術大学の後輩たち、また、映画作りを目指す若者たちへ一言

「10代後半、20代頭ですよね。誰しも自分だけが天才だと思っているし、人の言う事なんて何も聞かないでしょう。そういう人ばかりが集まっているから最初は戸惑うかもしれませんが、みんな段々リハビリされていって、そのうち映画を作れるようになっていくんだと思うんですよ。卒業する時には一応人間のようにはなれると思います。それがまさに大阪芸術大学って感じじゃないですかね。個性的な人の集まりですね」

 

83年埼玉県出身。大阪芸術大学の卒業制作として「剥き出しにっぽん(91分/16ミリ/2005)」を監督。この作品で第29回ぴあフィルムフェスティバル「PFFアワード2007」にてグランプリ&音楽賞(TOKYO FM賞)を受賞。さらに同作品は第26回バンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガー・ヤングシネマ・アワードにノミネートされる。驚異的なスピードで長編映画「反逆次郎の恋(89分/DV/2006)」、「ガール・スパークス(94分/DV/2007)」、「ばけもの模様(93分 /HD/2007)」を制作。それら4本全ての長編映画が第37回ロッテルダム国際映画祭で特集上映されるなど、世界的な注目を集める。さらに、アジア・フィルム・アワードでは、第1回「エドワード・ヤン記念」アジア新人監督大賞を受賞し、第32回香港国際映画祭ではまたもや4本全ての長編映画が特集上映されるなど、今、世界から最も注目されている若手映画監督である。

●石井裕也監督公式サイト
●石井裕也監督Blog





『ばけもの模様』
〜6/20(金)まで池袋シネマロサにて上映中。

WMP[1'48"]



『剥き出しにっぽん』

WMP[1'41"]


 








  本田隆一監督インタビュー

Copyright (c) 2008 DAIGEI FILM AWARD. All Rights Reserved. ∴ページトップへ